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茨城大学?コマツ 農業ブルドーザー用いた乾田直播水稲栽培の実証研究
収穫米を子ども食堂や学生へ寄贈

komatsu1.jpg 茨城大学農学部と建設機械メーカー大手の株式会社小松製作所(コマツ)が共同で行っている、農業ブルドーザーを用いた大規模圃場における乾田直播水稲栽培の実証実験において、今年は約25トンの新米が収穫されたことから、これらを食の支援を必要とする方々へ寄贈しました。

 茨城大学農学部とコマツは、コマツが開発した農業ブルドーザーを用いて、乾田直播水稲栽培の有効性についての実証研究を行っています。この実証研究には、コマツの販売代理店であるコマツ茨城株式会社/株式会社イバジュウも参画しています。

 水田にイネの苗を植えるのではなく、イネの種子を直接土に播く「乾田直播水稲栽培」は、稲作のコストを削減させ、休耕地活用の促進や地域農業の持続可能性につながることが期待されています。

 そうしたなか、コマツと茨城大学農学部は2020年より、ブルドーザーを用いた乾田直播水稲栽培の実証試験を稲敷市の圃場において開始しました。コマツの農業用ブルドーザーは最新のデジタル技術を駆使した高精度な均平作業を実現できることはもちろんのこと、後部に農業用アタッチメントを装着することで耕起作業や種まき作業も行うことができます。

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 今年は稲敷市内の5.6ヘクタールの土地を大規模圃場として整地。圃場では、高い均平精度を活かして、大規模圃場ながら給水箇所が1カ所で済むような灌漑システムを導入しました。それにより水管理が容易になっただけでなく、従来の節電型の水田よりもさらに約7割分の節電効果が見られたということです。

 今回の収穫量は、1ヘクタールあたり3.84トンで、乾田直播の平均的な収穫量(1ヘクタールあたり4.5トン程度)の約85%となりました。この結果については、実証を行った圃場が長期間使用されていなかった影響が考えられます。また、農学部の黒田久雄教授は、「標準的な施肥量では多かったことと稲を中干ししなかったことも原因ではないか。来年度は改善したい」と話しています。

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 ところで、今回収穫した約25トンの新米は、昨年同様、地域において食の支援を必要とする方々や大学生に寄贈することになりました。既に各種団体等を通じて提供していますが、11月11日(木)、本学阿見キャンパスにおいて贈呈式を開催しました。

 贈呈式では、コマツ、茨城大学農学部の両者から研究の概要を説明した後、各団体の代表者に目録を進呈しました。

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 贈呈式で本学農学部の戸嶋浩明学部長は、「昨年度に引き続き支援を必要とする方々に提供できることを嬉しく思いました。食糧問題が深刻化する中、今回のようなスマート農業の技術で生産性や品質を上げながらSDGs達成につなげ、世界、地域に貢献したいです」と述べました。

 また、株式会社小松製作所の坂井睦哉さんは、「昨年は栽培期間が短く、食味が落ちたが、今年はおいしくできました」とした上で、「SDGsへの貢献という点で、現在、林業機械、農業機械に力を入れています。アジアの中の食料自給率に課題のある地域に加え、国内でも省力化や高精度な均平には将来的なニーズがあると考えています。今後もみなさんからさまざまな情報をいただければ」と語りました。

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 その後、寄贈先となった支援団体等の方々からコメントをいただきました。

 このうち、NPO法人フードバンク茨城の野末篤さんは、「ブルドーザーによる直播の様子を(動画で)初めて見ることができて新鮮でした。お米は多くご寄附いただくのですが、新米は貴重で、受け取った団体ではどこでもとても喜ばれました」と報告しました。またその他の団体の代表者からも、支援を必要とする家庭の深刻な状況や、大学生が置かれている厳しい生活の様子などが報告されました。

 茨城大学農学部とコマツでは、今後も共同の取り組みを続けていく予定です。

(取材?構成:茨城大学広報室)