農学部とJAグループ茨城が新たな就農体験学修プログラムを開始
個人の農家をつなぐマッチングアプリを活用
茨城大学農学部は、第3学年の第3クォーターに設けている「iOP(internship Off-campus Program)」において、JAグループ茨城と連携し、農家で就農体験学修をおこなうプログラムを開始しました。
農学部では、附属農場である国際フィールド農学センターにおける農学実習などを通じて学生たちへ農業実習の機会を提供していますが、農業の実態を深く理解し、必要な技術を身に付ける上でも、大学外における農業体験を促進したいと考えてきました。
一方、JAグループ茨城では、新規就農の促進、多様な農業労働力の確保といった目的から、個人が短期的なアルバイトとして農業に取り組みやすくするためのマッチングツール「農How(ノウハウ)」を昨年度より導入し、個人と農家の両方へ普及を図ってきました。その一環で、コロナ禍における若者への就業機会の提供という観点から、大学等との連携も目指してきました。
こうした双方の事情を踏まえ、農学部のキャンパスがある阿見町をエリアとするJA水郷つくば、JA全農いばらき、JA茨城県中央会が連携し、茨城大学の学生たちが「農How」を利用して「iOPクォーター」中に農家で就農体験学修を行うという新たなプログラムを、茨城大学との共同で開始しました。就農体験先としてJA水郷つくばが運営する次世代農業プロジェクトワーキンググループ「ヨリアイ農場」(代表:栗原広治氏)のメンバー4軒の農家の協力を得て、初年度の今回は同学部の3年生5名が希望する農家の作業に参加しました。
10月20日と21日には、サツマイモ農家の飯塚氏の圃場で、学生3名がサツマイモの掘り取り作業をおこないました。学生たちは2日間で、近所の幼稚園の園児たちのイモ掘り体験の補助や、実際の収穫作業を体験しました。参加した学生は「通常のインターンシップとは異なり、iOPだからこそ取り組める体験だと思った」、「農家でアルバイトをしてみたいと思っていたが、自分で探すことが難しかった。JAさんにご協力いただいて就農体験ができてとてもうれしい」、「将来は農業生産法人に就職したいと考えているので、とてもよい経験になった」と、感想を口にしました。
20年ほど前に会社員を辞めて農家に「転職」した経験を持つ飯塚氏は、「会社員など安定した職業を経験してから、将来就農するという道もある。農業という仕事を、頭の片隅にでも置いておいてもらえたら」などと学生に話し、会社員と農家のそれぞれの視点から、現代農業についていろいろな視座を与えてくれました。
農学部の宮口右二学部長は、「農業の現場の課題に直に触れる経験はとても重要。この取り組みは今後も継続し、今後は農学部以外の学生の参加も促していきたい」と話しています。
※「iOP」は、必修科目の開講のない学部3年次の第3クォーター(9月下旬から11月)に、インターンシップや海外研修など、長期的でアクティブな学修活動に取り組む期間となっています。プログラム開始以降、これまで約560人の学生がiOPに参加し、修了認定を受けています。