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行動して学ぶ「地域活性化」
―人社?小原ゼミが道の駅かさまのイベントで出店体験

 去る715日~17日に笠間市の道の駅かさまで行われた「地ビールフェア」では、人文社会科学部の小原規宏准教授のゼミの学生たちが軽食のブースを出店しました。笠間の地ビールに合うおつまみのメニューを考案し、赤字が出ないような計画を立てることや現場での販売?接客まで、一連の流れを実践。「やってみないと分からないことばかり。本当に良い経験でした」という3年生の貝塚直哉さんとともに振り返ります。

小原ゼミのメンバー

 2年前にオープンした笠間市の「道の駅かさま」は、週末や夏休みになると県内外のナンバープレートの車であふれかえります。「地ビールフェア」が開催された7月15~17日の3連休も、炎天下の中たくさんの来場者が訪れ大賑わいでした。茨城県内のさまざまな地ビールが並ぶ中、この日初めて披露されたのが、笠間の名産品である栗のペーストを原料にした発泡酒「笠間の栗アンバーエール」。笠間市のみなさんも「新しい特産物に」と息巻いているようです。

 今回、「人文地理学Ⅰゼミ」(小原ゼミ)のメンバーたちは、この新しい地ビールに合う「おつまみ」を考案して、フェアで販売するということになりました。
 同ゼミでは以前から食によるまちづくり、まちおこしをメインテーマとして活動しており、貝塚さんによれば「地域活性化に興味のある学生が集まっている」とのこと。笠間市とも長い付き合いがあり、現在笠間市役所に勤めているゼミの卒業生も連携のキーパーソンになっているそうです。

 その卒業生から「地ビールフェアで何かやりませんか?」という提案があったのが今年6月。話し合った結果、「おつまみ」を考えて出店するというアイデアがまとまりました。
 食のお店を出す上では、小原ゼミの笠間市での連携活動の重要なパートナーで、ご当地グルメでまちおこしを行っている「笠間いなり寿司いな吉会」という市民団体のみなさんがサポートしてくださいます。とはいえ、どんなおつまみが良いのか、どうやって作るのか、1個いくらで売って、全部で何個用意するのか......といったことは、すべてゼミのメンバーたちで考えなければいけません。

調理する様子

 メニューの考案や試作は、3年生と4年生の2グループに分かれてそれぞれ取り組みました。3年生の貝塚さんたちのグループでは、「たこ焼き」を作ることに決定。その背景には、たこ焼き作りはお手のものという関西出身の学生がいたことに加え、「笠間市にもたこ焼き文化を!」という熱い気持ちで数年前まで活動し、残念ながら他界してしまった地域おこし協力隊の方の思いを引き継ぎたいという思いもあったそうです。「地元」にこだわったものにしたいと考え、水戸市内のゲストハウスを借りてみんなでいろんなバージョンを試作。その結果、笠間の味噌、水戸の梅という2種類の味に、スタンダードなたこ焼きを加えた3種類を売ることになりました。(ちなみに4年生は、にんにく香るジャーマンポテト串を販売)

 笠間市のオファーから1カ月半でのスピーディーな準備。食品のお店をイチからつくるというのはもちろん初めて。大変でしたが、「真剣に話し合って協力しあえるメンバー。関西出身のメンバーはたこ焼き作りを主導して、絵が得意なメンバーはポスターやステッカーを作成。自分たちの裁量で自由に進める中で、チームワークが磨かれました」(貝塚さん)と、ゼミの結束感を誇らしく語ります。

3種のたこやきセット

 そしてイベント当日。「車で来た人も食べやすいように」と考え、たこ焼き3種をプラスチックカップに入れて提供。1カップ200円と手ごろな値段にしたこともあり、子どもたちも次々に買い求めてくれました。「おいしかったです。暑い中大変ですね、がんばってください」と声をかけてくれたり、SNSでも紹介してくれるお客さんもいるなど、評判も上々でした。

 しかし、お客さんがしばらく来ないような時間帯もあり、結果としては、「数は結構売ったのですが、売り上げは予想よりも伸びませんでした」と振り返った貝塚さん。原価を低めに見積もっていたことや、閉店間際に半額にしたことなどが影響したようです。

道の駅かさまにて

 いくつか反省点は残りましたが、それでもこれらの経験のすべてが「学び」。
「地域活性化」や「連携」を口で言うのは簡単ですが、その具現化は、まさにこうした地元の関わりの中での実践の積み重ねがあってこそです。
 貝塚さんも、「『いな吉会』のような市民団体の方々と関わることで、地域を盛り上げるというのが実際にはどういうことなのかということや、そこで動く上での責任感を肌で感じることができました」と振り返ります。
 そして最後に、こう語ってくれました。

「ゼミの卒業生からつながる地域活性化のためのコミュニティができてきていて、そして今後、僕の後輩たちも同じように関わっていくのだと思います。コロナ禍でしばらくこうしたイベントができずにいましたが、このつながりこそがゼミの魅力だと思うので、大切に、崩さないようにしていきたいです」

※本記事は、小原ゼミからの情報?写真の提供とヒアリングをもとに作成しました。