人文社会科学部の学生が原作?脚本?撮影スタッフなどを務めた映画が上映!
この夏、常陸大宮市で開かれる国際映画祭で、茨城大学の学生たちが制作に携わった短編映画『マイアミブルー(監督:速水雄輔)』が公開されます。原作?脚本(速水監督との共同)は人文社会科学部4年の川﨑亮磨さんが担当しました。川﨑さんを始め、スタッフとして撮影に関わった学生の皆さんに、制作過程や現場で感じたこと、映画の見どころなどを聞きました。
映画祭は「ジャパンワールド映画祭?芸術祭」。世界15か国から集まった27作品が2日間に分けて披露されます。『マイアミブルー』は「県北PR映画」として、1日目?2日目ともに最後に上映されます。
『マイアミブルー』は、映画祭を前に開かれた映画作りワークショップで生まれました。このワークショップは大学内でも参加者募集の案内があり、映像制作に興味を持っていた人文社会科学部の川﨑さん、白鳥瑞季さん(1年)、須藤こま子さん(3年)、鈴木陵斗さん(同)が参加しました。ワークショップでは「静かな決断」「思い出」をテーマに参加者がシナリオを書き、川﨑さんのシナリオが選ばれました。
主人公は、目標を見出せずニート生活を送る青年。父との関係もうまくいかず、唯一の心の拠り所は近くに住むおばあちゃん。しかし、おばあちゃんには持病があり、次第に容体が悪化していきます。そんな中、主人公は将来と向き合い始めます。
物語は川﨑さんの実体験が基になっています。川﨑さんは高校卒業後、病気のため自宅での療養を余儀なくされました。将来への不安などに押しつぶされそうな日々の中、毎日午後3時におばあちゃんの家に行き、背中をもんであげたり、一緒にテレビを見たりする時間が、数少ない心休まる時間だったと言います。
映像化するにあたり、より良い映画になるよう、速水監督は原案に手を加えました。一方、川﨑さんは自分が描きたいものと監督からのアドバイスの間で葛藤し、鈴木さんに相談。鈴木さんは第三者の立場で感じたことを伝えたり、両者の意見を両立させられるような脚本の書き方を提案したりして、脚本完成を支えました。川﨑さんは「陵斗なしではできなかった」と感謝します。
ワークショップ参加者のうち希望者は『マイアミブルー』の映像制作に参加しました。白鳥さんは、助監督兼制作チーフとして、制作資料の作成などを行いました。制作チームのLINEグループでやりとりされていた全ての内容を、約1か月間毎日記録?管理し、撮影が円滑に進むようサポートしました。
須藤さんは音声スタッフとして活躍しました。車内の撮影シーンでは、カメラに映らないように身を小さくしながら、マイクが車の天井などにぶつからないように工夫したそうです。白鳥さんも音声スタッフを務めました。2人は「マイクが重く、腕がプルプル震えた」と笑って振り返りました。また、2人の私物は小道具としても使用されました。
川﨑さんも、衣装を管理したりシーンごとにまとめる衣装係を担いました。
もともと映像制作に興味があった4人は、ワークショップや現場を見て、どう感じたのでしょうか。
白鳥さんは「大変だと聞いていたし、実際すごく大変だったが、それでもこういう仕事をやりたいと思えた。映像に対する思いが強まった」と目を輝かせました。
エキストラに参加するのが好きだったという須藤さんは、「なんで何回も同じシーンを撮るの?と思っていたが、制作側になってこだわりが分かった。これからは視聴者としても細かい部分に注目したい」と理解が深まった様子。
鈴木さんは、「映画などのエンドロールを飛ばしてしまうこともあったが、ここに名前のある一人ひとりがこんなに頑張ってるんだと感動した」と話しました。
「上から裾野を見る仕事、裾野から上を見る仕事の両方をやらせてもらえたことで、これからもっと広い視点の脚本作りができそうだ」と話すのは川﨑さん。自分の感覚やセンスに自信がなかったそうですが、「信じて突き進んでみようと思えた」と映画監督や脚本家になりたいという思いを強くしました。
皆さんの熱い思いが詰まった『マイアミブルー』の見どころは、「常陸大宮市の風景」(白鳥さん)、「妹役の明るいキャラクター」(須藤さん)などさまざまですが、中でも注目はおばあちゃん役。川﨑さんが「思わず『久しぶり』と言いそうになった」くらいイメージ通りで、「特に、『ただいま』の言い方がそっくり」だそうです。プロではなく、常陸大宮市民の豊島美恵さんが務めました。
ジャパンワールド映画祭?芸術祭は、8月17、18日に、緒川地域センター(常陸大宮市上小瀬1259)で開催します。映画のほか、常陸大宮市民によるミュージカルやマルシェ、ジャズオーケストラなどさまざまな催しを行う予定です。