【レポート】土曜アカデミー
「著者が語る『日本列島はすごい 水?森林?黄金を生んだ大地』」
茨城大学は、地域の皆様や学生たちとともに学び楽しむ講座?イベント「土曜アカデミー」を開催しています。2024年10月26日(土)は、万博manbetx官网図書館のライブラリーホールにて、話題の新書「日本列島はすごい 水?森林?黄金を生んだ大地(中公新書)」を執筆した教育学部の伊藤孝教授が、内容や執筆の秘話などを語りました。
2024年4月に刊行された同書は、ユーラシア大陸から分離した日本列島の成り立ちをたどりながら、その地質的な特徴や気候?文化への影響、地震や火山災害のリスクなどをわかりやすく紹介した1冊です。伊藤教授自身のエピソードや、江戸時代の俳人?松尾芭蕉「おくのほそ道」などの話題を織り交ぜた書きぶりが話題となり、出版から半年足らずで7刷?3万部を突破した話題作となりました。
この日の講座でも、同書を片手に、伊藤教授の話に熱心に耳を傾ける参加者の方がいらっしゃいました。
講座前半で伊藤教授は、なぜ同書を書くことになったのか、なぜこのタイトルになったのか、などの出版秘話を紹介。
伊藤教授は所属する勉強会「生環境構築史」のHPでWEB連載を執筆しており、その原稿を見た中公新書の編集者から連絡がきたそうです。「初めは出版詐欺か...?と疑いました」と話し、会場を沸かせました。
タイトルの「日本列島はすごい」は編集者からの案ですが、伊藤教授は受け入れられず、約1年半にわたり編集者との交渉が続きました。しかしある時、編集者から「先生、辞書ですごいの意味を調べてみてください」と言われ、その通りにすると、辞書には「①ぞっとするほど恐ろしく思う。たいそう気味が悪い。②常識では考えられないほどの能力?力をもっている。並はずれている。」とありました。そこで「この本で書いたのは、恩恵もあるが、対をなすように試練もあるということ。まさに①の意味だ」と腑に落ちたそうです。
後半は、同書の内容に関連して、「なぜ日本列島はこんなにじめじめしているのか?」「なぜ日本列島には活火山が111個もあるのか?」「なぜ日本列島に金が産するのか?」の三つの問いについて考えました。「気の利いたことが言えないから本を書きました。本の方が分かりやすいかも...」と謙遜しつつ、図を用いてそれぞれの要因を解説しました。会場からの質問も受け付け、和やかな雰囲気で進行しました。
講座終了後はサイン会も。伊藤教授は参加者持参の本にサインを書き入れながら、会話を弾ませました。
次回の土曜アカデミーは11月16日(土)、プロバスケットボールチームの茨城ロボッツを運営する会社の川﨑篤之社長と機械学習の研究者である鈴木智也教授(茨城大学工学部?地域未来共創学環)の対談を行います。詳細はこちらからご確認ください。
(取材?構成:茨城大学広報?アウトリーチ支援室)
書籍情報
伊藤 孝 著
「日本列島はすごい 水?森林?黄金を生んだ大地」
(中公新書2800)
発売日:2024年4月25日
定 価:本体920円+税