「生物季節」をみんなで観測 気候変動や地域の生態系を理解する一歩に
- 2022年12月16日
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理工学研究科(理学野)の及川真平准教授は、植物?動物の状態が季節によって変化する現象について観測する「生物季節(フェノロジー)」の観測をしています。春になるとウメやサクラの花が咲く、秋になるとモミジやイチョウが紅葉?黄葉するといった現象は、私たちが季節の変化を感じるものです。温暖化などの気候変動が、それらにどうかかわっているのか。「花が咲いた日」や「紅(黄)葉した日」、「(動物が)初めて鳴いた日」などを毎年記録することで、日本の他の地域との違いや傾向が見えてきます。
日本におけるフェノロジーは、気象庁が1953年から植物34種の開花日や紅(黄)葉日、動物23種の初鳴日や初見日などを継続して記録してきました。生物に及ぼす気象の影響を知るとともに、その観測結果から季節の遅れ進みや、気候の違いなど総合的な気象状況の推移を知ることが目的です。これらは私たちの生活情報のひとつとして利用されてきたほか、季節の移り変わりのスピードや気候変動の傾向の把握にも活用されてきたものですが、2021年からは観察する対象種が大幅に縮小されてしまいました。50年以上も蓄積されてきた大切なデータを途切れさせまいと、及川准教授をはじめとする全国各地の有志により、気象庁の観測対象から外れてしまった植物?動物の観測を続けられることになりました。及川准教授は茨城県内には数人しかいない、そのメンバーのひとりです。
茨城大学構内にも、及川准教授が観察対象としている植物?動物が多数存在しています。今後も茨城県内でのフェノロジー観測を長く続けていくため、2022年冬からは学生メンバーを募ってともに活動していくことになりました。茨大生だけでなく、教職員、地域の子どもたちなども巻き込んだプロジェクトに発展させることを目指しています。
担当者
理工学研究科(理学野) 准教授 及川 真平
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