DNAの傷を可視化して健康リスクを評価するヘルスケア事業を立ち上げ
- 2022年12月22日
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- 理学部
- 研究
原発事故の現場や上空、宇宙空間のような放射線レベルの高い場所では、DNAに傷を負い、それがさまざまな病気を引き起こすリスクがあります。
理工学研究科(理学野)中村麻子教授は、米国のNIH(National Institutes of Health)で、染色したγ-H2AXというタンパク質をマーカーとして扱うことで、DNA損傷を可視化し、評価する「γ-H2AXアッセイ」という技術を修得。帰国後すぐに経験した東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故を受け、この技術を活かしたヘルスケア事業を構想してきました。
そのビジョンを実現する手立てとして、2020年3月、中村教授の研究室に所属する博士前期課程(当時)の高橋健太さんとともに、茨大発ベンチャー「株式会社Dinow」を設立。放射線によるDNAへの影響評価、損傷の修復能力の評価、生活習慣評価の3つの評価サービスを軸としたヘルスケア事業を展開して、人びとの「健康」と「安心」を実現することをミッションに掲げました。
Dinowは2021年度から、宇宙ビジネスにも参入。これまでに、微量の血液からγ-H2AXアッセイを行うシリコンゴム素材のチップの開発や、評価用デバイスの試作に成功しています。宇宙飛行士や宇宙旅行者、地上で生活する私たちの健康を守るため、中村教授と高橋さんはこれからも走り続けます。
担当者
理工学研究科(理学野) 教授(株式会社Dinow CTO) 中村 麻子
研究者情報
理工学研究科博士後期課程(株式会社Dinow CEO) 高橋 健太
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